底が浅くて上すべり。

歌手・川村カオリさんが亡くなりました。
享年38歳。
闘病の様子は最近テレビで見る機会も多かったので、
ご存じの方も多いと思います。


私が初めて川村カオリさんを見たのは小学生の時。
当時はショートカットで細身で、
まるで少年のような若きロックミュージシャンでした。


熱心なファンだった、というわけでもないんですが、
アルバムも持ってたし、
小学生なのに深夜の「オールナイトニッポン」も聞いてました。


「オールナイトニッポン」は、私にとって大変思い出深い番組でした。
同性愛を扱うコーナーがあったからです。
それも異性愛とまったく同じような、「普通の恋愛」として。


これは、今考えるとすごく画期的なコーナーだったと思います。
当時は今よりももっと、
同性愛に対して笑いや侮蔑の目が向けられていた時代でした。


そして私が、自らの性的指向に気づき始めていた時期でした。


「自分だけ他の人と違うんじゃないか」
そう思い始めて、不安で怖くてたまらなかった小学生の私は、
同性愛をありのままに扱ってくれるこのコーナーを、
それこそすがるような思いで聞いていたのです。
「ああ、私と同じような気持ちの人もいるんだ、私だけじゃないんだ」と。


そんな昔の話を思い出しました。


それからしばらく、彼女の姿を見なくなり（渡米してたんですね）、
久しぶりに見たらタトゥーだらけになってるわ、
モトアキさんと結婚するわで、
「うわー、ロックだなー」と、その変わりように驚いたものでした。


その後も波瀾万丈な人生を送り、ガンとの闘病、そして……


本当に死にたくなかっただろうと思います。
幼いわが子を一人残してなんて、絶対に嫌だっただろうと思います。
（離婚したとはいえ旦那さんもいますが……養育は無理でしょう）


どれだけこの世に思いを残して逝ったのか……
私には想像もできません。


今はただ、川村カオリさんのご冥福と、
残された娘さんの幸せをお祈りいたします。
本当に残念です。

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