底が浅くて上すべり。

また来ん春と人は云ふ
しかし私は辛いのだ
春が来たつて何になろ
あの子が返つて来るぢやない 
　　　　　　　（中原中也「また来ん春……」）


いつの間にやら3月になってしまった。
北海道はまだまだ寒いけど、時期的にはもう春。
辛い季節の始まりだ。


卒業とか就職とか転勤とか、人々が新たな旅立ちを迎える中、
己の変わらなさに絶望する季節、それが春だ。


でも今年は少し気が楽なのだ。
変わろうともがいていたのも昔の話。
あきらめてしまえば、何も苦しむことはない。


それは時の流れに身を任せると言うよりは、
ただ力を抜いてその場に沈んでいく感じに近い。


光の届かない深い所まで沈んで、
やがて底に横たわる事ができたらいい。
それが今の私の望み。

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