底が浅くて上すべり。

結局のところ私は、幸運な人間なんだと思う。


今のところ命に関わるような大ケガや大病もしたことがないし、
犯罪に巻きこまれたこともない。


誰かのひどい裏切りに遭ったこともないし、
全財産を失ったこともないし、
明日の食事や住む家に困ったこともない。


近所にゴミ屋敷もないし、
何十頭の犬を放し飼いにしてる人もいないし、
一日中騒音を出し続けるような迷惑な隣人もいない。


孤独ではあるけど、それもそれなりに楽しんでいるし、
何より、


とりあえずにしろ消極的選択にしろ、
「生きている」という事がもうラッキーの極みなんだと思うわけで。


それはわかっているんだけど……
どうして私は、こんなに不安で、満たされず、虚しいのかしら。
「幸運だけど幸福じゃない」なんて、ふざけた事を言いたくなるのはなぜかしら。


「望むもの全てが手に入るわけがない」
「ただの贅沢だ」
「どれだけ業が深いんだ？」
そう自分に言い聞かせても、心が安定しないのはなぜかしら。


……要するに、私の煩悩はとてつもなく大きいってことなんだろうなぁ。
でも、「煩悩とは生体エネルギーの一種」と小池龍之介氏の本に書いてあったから、


ひょっとしたら私は、
生命力がメチャクチャ強い人間なんじゃないかと思えてきて、
それもまた困ったなぁ、と思う次第なのでありました。

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